6月に入り、じめじめとした空気が続く季節になりました。雨の日が増え、洗濯物も乾きにくい時期。それでも紫陽花がきれいに咲いたり、雨上がりの緑がいっそう鮮やかに見えたりと、梅雨ならではの風景を味わえる季節でもありますね。とはいえ、パンにとってこれからの季節は少し苦手な時期。気温と湿度が上がることで、いつもより傷みやすくなったり、食感が変わりやすくなったりします。夏に向かうこれからの季節は、保存の仕方がそのままおいしさに直結してきます。今日はパンをもっとおいしく食べるための「保存方法」と「焼き方のコツ」をご紹介します。
パンの保存といえば、「とりあえず冷蔵庫に」という方、実は半分あっていて半分間違っています。冷蔵はパンの大敵でもあるカビ対策には良いのですが、パンにとって少し過酷な環境でもあるのです。パンの主成分であるでんぷんは、冷蔵庫の温度帯(2〜5℃)で最も老化が進みやすいと言われています。老化したでんぷんは水分を外に押し出してしまうため、パンがパサパサになっていく。「まだ食べられるのに、なんか美味しくない…」これが冷蔵保存のワナです。
サンドイッチなどの当日期限の調理パンや、その日のうちに食べる場合なら冷蔵でもOK。ただ、いつ食べるか未定の場合は「冷凍」が正解です。でんぷんの老化は、冷凍温度帯ではほぼ止まります。冷凍保存のポイントは3つ。1つ目は新鮮なうちに素早く冷凍。2つ目は普段食べるサイズに切り分けて冷凍。3つ目はパンが空気に極力触れないように包装して冷凍。食べる時は事前に常温に戻しておくだけで自然解凍されるので、再度焼き直していただくとパンの香りや食感がもどります。
ここで、パンを美味しく焼きなおすコツのお話です。みなさんは「バルミューダ」のトースターをご存知でしょうか。数年前、「これでトーストしたら感動した」と話題になった、あの家電です。普通のトースターの何倍もする値段なのに(3万円越え!)、なぜあそこまで人気になったのか。秘密は、たった5ccの水にあります。焼く前に給水口へ水を入れると庫内にスチームが充満し、パンの表面が薄い水分の膜で覆われます。水分は空気よりもはるかに速く熱が伝わります。サウナは90℃でも数分いられるのに、同じ温度のお湯には触れられないのと同じ原理です。この膜が内側の水分や香りを閉じ込めたまま、表面だけをさっと焼き上げる。それがあの感動の正体でした。実はこれ、本格的なパン焼き窯でやっている蒸気焼成と同じ原理なんです。そして、これが家庭でも簡単に再現できるとしたら…やってみたいと思いませんか?
必要なものは、どこの家にでもある「霧吹き」と「トースター」だけです。やり方はとっても簡単。ポイントは「高温で短時間」と「適度な水分」です。
① まずはトースターをしっかり予熱します。冷たい状態から焼き始めると、温度が上がる前にパンの水分が抜けやすくなってしまいます。
② 次に、パンの表面に霧吹きを2〜3回。さらに、トースターの中にも1〜2回ほど軽く吹きかけて、庫内を少し加湿します。
あとは、素早く入れて短時間で焼くだけ。それだけで、外はパリッ、中はもちっと、パンの香りも立ちやすくなり、焼きたての食感を楽しめます。
ちょっとしたコツを知っているだけで、毎朝の食事がずいぶん変わるものです。霧吹き一本で、いつものトースターが少しだけ「プロの窯」に近づきます。ぜひ一度、お試しください。またハローエレファンでは、6月より夏期限として賞味期限が全体的に短くなります。パンの保管と焼き直しのコツを活用して、最後の一口までおいしく楽しんでいただけると嬉しいです。
